『WE ARE YOUR FRIENDS』は電子音楽が紡ぐ最高の青春映画!2016年6月24日より公開
EDM(エレクトリック・ダンス・ミュージック)
シンセサイザーやモジュレーター、様々な機器とテクニックを駆使したこの音楽が持つたったひとつの目的。それは人を”踊らせる”ことだ。
ULTRA JAPANなど、大型EDMフェスが日本でも開催されるようになった今、EDMという言葉に聞き覚えがある人も多いだろう。
今回はそのEDMと、それに関わる青年たちの描いた青春映画『WE ARE YOUR FRIENDS』(ウィー・アー・ユア・フレンズ)について紹介していく。
2016年6月24日より公開
『WE ARE YOUR FRIENDS』のあらすじ
<右からスキアール、コール、メイソン、オリー>
ロサンゼルス、ハリウッドヒルズの向こう側、サン・フェルナンド・ヴァレーに住む主人公のコール(ザック・エフロン)とメイソン(ジョニー・ウェストン)、オリー(シャイロ・フェルナンデス)、スキアール(アレックス・シェイファー)の四人組はいつかビッグになるという漠然とした夢を持て余しながら、楽しく、でもどこか行き詰まりを感じながら日々を過していた。
コールはDJとしての成功を夢見るが、現実は厳しく、プレイしてもギャラは貰えない。
しかしある夜、世界中でプレイした経験を持ち、DJとして成功を収めているジェームス(ウェス・ベントリー)と出会ったことをきっかけにコールの停滞していた人生は徐々に動きだす。
トラックメイクやDJの練習に励む一方、何をするにもまずお金が必要だったコール達四人組はオリーのツテで不動産売買をする会社で働き始める。
<電話対応をするコール>
そんなある日、コールはジェームスの気まぐれでホームパーティーのDJを任される事となった。
自分のもったスキルを最大限に発揮し、客を沸かせたコールのプレイにジェームスは才能の片鱗を見出し、コールにプレイの仕方を教える様になる。
ジェームスに世話になる一方で、コールはジェームスの彼女であるソフィア(エミリー・ラタコウスキー)に惹かれていき、一緒にレイヴ(EDMのフェス。大抵の場合ドラッグを使用しながら踊る人で溢れている)に行った際についに一線を越えてしまう。
<コールを見つめるソフィア>
ジェームスの推薦でサマーフェスへの出演が決まるなど、コールの人生は好転しはじめや様にも思えたが、仲間たちとの間にあった溝は予想以上に大きくなっていて、そしてついにはジェームスにソフィアと関係を持った事がバレてしまう。
ジェームスにボコボコに殴られ、これ以下は無いと言うほどに最悪な状況に陥ったコール。
しかし、予想だにしていなかった更に最悪な事態がコールと仲間たちに訪れる―――。
夢と現実とのギャップに打ちのめされながらもあがきつづける若者とEDMの音楽が奏でる狂想曲は、あなたの退屈した心にケミストリーを引き起こすかもしれない。
『WE ARE YOUR FRIENDS』の感想、レビュー
個人的に一番気に入ったシーンは、コールがジェームスに連れていかれたパーティーでウィードでキマりながらダンスをしている場面。
アニメーションと実写の融合が上手い具合にハイな状態の主人公を表現している。
というかさ、
ザック・エフロンがかなりイメチェンしててビビった。
僕としては未だにハイスクールミュージカルや17アゲインなど、ポップなイメージが強かった彼なんだけど、今作では薬やEDM、DJといったちょっとダークでリアルな物に関わる主人公をびっくりするぐらい自然に演じていたと思う。
確実に俳優として成長しているので、そこにも注目してみてほしい。
『WE ARE YOUR FRIENDS』は登場人物の全員の「弱さ」「挫折」「不安」が上手く描かれていて、僕位の年齢(二十代)の人はもちろん、10代の多くが共感できる内容だと思う。(もちろん30代からそれ以上の人にもオススメ)
EDMやクラブシーンを描いた作品としてみるならば、少々クリーン過ぎる気もするが、青春映画としてはかなり良い出来だと思う。
美しいロサンゼルスの景色や音がドラマチックに脚本を引き立ててくれている。
カップルで観てもいまいち盛り上がりに欠けると思うので、一人、もしくは男友達、女友達同士で観てほしい映画ですね。
形は違えど誰もが夢を追いかけ続ける
役者、ミュージシャン、アイドル、漫画家、作家、プロスポーツ選手、パイロット。誰もが一度は夢見た事があるんじゃないだろうか? そして、大抵の人は挫折もセットで経験したことだろう。
『散っていった夢』という表現を使うことがあるが、たぶん、夢というのは散って消えてくれるほど物分かりが良いものでは無く、いつまでも未練がましく心の奥底にこびり付いて、夢を叶えたヤツらを見ると「あんなの大した事ないじゃないか」なんて小言を漏らす様な、一種の慢性的な病じゃないだろうか。
「もし、あの夢を追い続けていたら」
誰にでもそんな事を考えてしまう夜がある。
漠然とした夢に限って、いつまでも後味悪く未練を残すものだ。
僕も昔は「小説家になりたいな」なんて漠然とした夢を持ちながらも、大した努力もしないで勝手に挫折した気分になっていた時期もあるが、今にしてみれば、別に夢を叶える事に期限は無いし、書きたければ書いて勝手に新人賞に応募すれば夢を追い続ける事が出来るという事にやっと気が付いた。
僕が一番最初に抱いたプロサッカー選手になると言う夢を実現させる事は難しいが、それ以外の夢であれば「まあ死ぬ気になれば手が届く範囲」にあると思う。
「今までに抱いた夢はたった一つです」という欲の浅い人はそうそう居ないと思うので、誰でもその気になれば夢の一つや二つ簡単に叶うんじゃないかな。
『WE ARE YOUR FRIENDS』は夢を追う事に伴う責任や苦悩を考えさせられる作品だった。
夢を追う事とは一歩間違えば現実逃避にもなりかねない。
漠然とした夢を現実の延長線上にある「大きな成功」に変えるためには、まず最初の一歩を踏み出し、少しずつ小さな成功を積み重ねていく必要があるのではないだろうか。