アメリカではペットを飼うより銃を買う方が簡単。オーランドの悲劇が起こった事にも頷ける。
アメリカ、フロリダ州オーランドのゲイ向けナイトクラブ「パルス」で起きた狂気の乱射事件は49名の命を無差別に奪い、53名の負傷者(内6名が重体)を出した。
実行犯とされているオマール・マティーンはパシュタン(アフガニスタンに住む少数民族)の両親を持つアメリカ人。
ISIS(イスラム国)との関係を示唆する内容を含む声明(ISISとの直接的な関係を示す客観的証拠は無いとみられる)をした後に今回の犯行に及び、大量の犠牲者、負傷者を出した後に警察から受けた弾丸に倒れた。
また自身も現場となったナイトクラブに常連として通っていたようだ。(ゲイ向けの出会い系アプリ上でも容疑者を確認できたらしい)
オマールは精神疾患を患っていたとみられ、前妻に度々暴力を振るうなど、以前から暴力的な側面を持つ人物だった。
犯行動機は明確ではないが、一部報道では「自身のセクシャリティーに対する悩みなどが積み重なった結果ではないか」という意見もある。
容疑者の父によれば、街中でキスをするゲイカップルに嫌悪感を示す場面もあったようだ。
妻(前妻との離婚後に再婚し、子供もいた)を持ちながら、そしてゲイに対する嫌悪感を抱きながらもゲイクラブに通っていた彼がどういう心境だったのかは誰にも分からない。
今回の悲劇の本当の原因は不明だが、一人の男の狂気が多くの命を奪う事となった理由の一つにはアメリカ社会が抱える銃問題が挙げられるだろう。
(今回、容疑者が犯行に使用した凶器のAR15型ライフル銃は米軍が採用しているM16の民間モデルで、軍用とは違い連射が出来ず、一発ずつ引き金を引く必要がある)
現アメリカ合衆国大統領バラク・オバマは事件に対し「人を死に至らしめる武器が如何に簡単に手に入るか改めて認識させられた」と述べたのに対し、次期大統領候補の一角、ドナルド・トランプは自身のツイッター上で「イスラム過激派テロ組織については私が正しかった、おめでとう、という声に感謝したい。しかし、賞賛はいらない。タフになって警戒してくれ。俺たちは賢くあらねばならない!」と語った。
イスラム過激派との関係が証明されていないのにも関わらず、トランプらしいいつも通りの無神経な発言だ。
Appreciate the congrats for being right on radical Islamic terrorism, I don't want congrats, I want toughness & vigilance. We must be smart!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2016年6月12日
銃規制が進まない限り再びこのような 悲劇が繰り返される可能性は極めて高い。
しかし、自分の身は自分で守るという主義が歪んだ形で進化した銃社会では、事件が起こるたびに護身用としての銃の売り上げが伸びるという循環すら出来てしまっている。
銃には銃を、という考え方を変えるのは難しいのかもしれない。
アメリカではどれだけ簡単に銃の購入ができるのか? 以下に「身近な物と銃、どちらが入手に手間がかかるか」という例を翻訳したみた。
運転免許
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身分証明書の提出
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視力検査と筆記試験
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仮免期間
州によるが、アメリカで初めての運転免許を取得する際には上記の事をクリアする必要がある。
メリーランド州など、いくつかの州では数か月間の仮合格期間を設けている。
一方、銃を買う際には筆記試験も能力試験もない場合がほとんど。
カリフォルニア、コネチカット、ハワイ、アイオワ、イリノイ、メリーランド、マサチューセッツ、ミシガン、ネブラスカ、ニュージャージー、ニューヨーク、ノースカロライナ、ロードアイランドなどの州では購入許可証や安全講習などが必要となるが、逆に言えばそれ以外の場所であれば簡単に銃を手に入れる事が出来る。
お化けの学校レベルにイージーである。
パスポート
アメリカ人が初めてのパスポートを取得する為には、出生を証明したり、提出書類や証明写真を提出する必要がある。
そして、何の問題なしに手続き進んだとしても手元にパスポートが届くまでには6週間程かかる。
一方、銃を買う際にはFBIが提供する犯罪履歴検索システムで名前をチェックされるだけ。
カウンターでお金を支払えば約数分で銃が手に入る。
また、個人売買で購入を試みれば犯罪履歴のチェックを受ける必要はないだろう。
風邪薬
風邪薬には月々の購入量に規制がある。
風邪薬の有効成分であるプソイドエフィドリンは覚せい剤の原料としても使われるためだ。
一方、銃の購入個数に関する規制法は無い。
離婚
アメリカで離婚をする場合、いくつかの州では離婚が受理されるまでに約6ヶ月ほどかかる場合がある。
一方、銃を買う際には、一部の州を除いて、オンラインで買おうが店頭で買おうが即刻購入が出来る。
規制をしている州であっても、受け渡しまでの日数は両手の指で数えられる程度だ。
ペット
アメリカでは21歳以下は犬や猫などのペットのオーナーになる事が出来ないし、購入の際には身元保証書の提示が求められる場合が多い。
また、動物愛護施設から動物を譲り受ける際にはホームチェック(動物が快適に暮らせる環境であるかどうか家を調査される)を受ける必要がある。
一方、銃を買う際には身元保証書は必要なし、ホームチェックも必要ない。
ジャパニーズ・ガイ(ブログ筆者)の個人的な意見
銃による悲劇を無くすためには、やはり銃を無くす他ないんじゃないかな。
簡単に銃が手に入る環境では護身用も何もない。
合法的に大量殺人を可能とする武器が手に入れば、そりゃ実行に移す異常者も増えると思う。
アメリカが本当に安全で良い国になるためには銃の排斥は避けられないと思う。